日々紹介の配膳人の社会保険および年次有給休暇について(その2)
他のホテルで配膳人の社会保険未加入がニュースになり、慌てて社会保険加入の説明会が行われた。
加えて以前から交渉していた有給休暇についての説明がなされた。今回、社会保険加入対象者にだけ有給休暇を付与することだった。大切なことなので、もう一度書くが社会保険加入条件と有給休暇付与条件は全く違う基準である。そして、あろうことか有給休暇は1年分しか与えないということだった。つまり有給休暇の未取得の時効2年を無視しようとした。。
(録音)
「有給休暇の権利の時効は2年のはずですが、1年と誰が決めたのですか?」と質問した。労務部部長H氏曰く「社長が、決めました!」
「労働基準監督署に聞いたのですが、もし私が1年分の有給を取得して2年目の有給を申請し、給与にそれが反映されていなければ労働基準法になりますよ!」
「それは、私たちに説明しているのですね?」
「はい!」
そんな説明をわざわざしたのには理由がある。説明したことにより労務は法律を認識したことになり後々知りませんでしたと言わせないためだ。そして、社長S氏の言葉が法律より優先し、社長の承認がいることに驚いた。そんなやりとりが続き、ホテルは検討すると説明会が終わった。
それから一週間ぐらいして、仕事が早く終わったので労務に内線で伝えた。
「仕事が早く終わったので、今から労働基準監督署に一緒に行って聞きませんか?そのほうが早いでしょう。」
「もう少し待ってください、冨田さん・・・」電話に出たU氏にはかわいそうなことをしたが。
その一週間後、有給休暇未取得の時効2年分が付与されることとなった。ただ、比例付与については問題が残るままだった。
余談だが、ここのホテルの有給取得理由欄には「私事の為」では書き直しを求められる「私事都合により」と記載しなければならない。有給の申請理由は書かなくていいのを知らないのだろうか?まったく馬鹿馬鹿しいことばかり押し付けてくる。
ここでどうしても言っておかないといけないことがある。私たち配膳人がなぜホテルと交渉して有給休暇の権利を認めさせないといけないかということだ。この役目は配膳人を紹介して利益を得ている有料職業紹介所の役目だ。だかその紹介所の暴行問題の前責任者には「配膳には有給はない!」と現責任者は「わたしのときもなかった!」とホテル側の主張をした。しかし、有給休暇がとれるといなや、自分たちの言葉はわすれ当然のように配膳人に説明している。
しかし、この後・・・休憩時間が与えられない事態に・・・
-つづくー
日々紹介の配膳人の社会保険および年次有給休暇について(その1)
大先輩F氏がホテルに交渉して、そろそろデイリーも有給休暇をもらわないかと声をかけられ何も迷うことはなく一つ返事で同意した。まず大先輩が会社に交渉し私は配膳会に有給休暇の権利が発生しているはずだと主張した。
そして会社からの回答を待っていたそんな矢先に、第一ホテル東京で常用状態だった配膳人の社会保険未加入が発覚しニュースになった。ここもご多分に漏れず未加入であった。公になるのを恐れたホテルはすぐさま社会保険が適用される配膳人に対して説明会を開くこととなった。
説明会に備え、いくつかの労働基準局に労働の実態を説明し有給休暇について相談をした。いくつかの労働基準局に相談したのは労働基準局ごとに見解の違いがないことを確認したかったからだ。当然のごとく見解の一致を見たのは言うまでもない。そしてもう一つホテルに逃げ道がないことを確認することができた。
説明会当日、ホテル側は労務部部長H氏、U氏(当時の役職不明)K氏(当時の役職不明)が説明にあたった。私と先輩T氏が前列に座り説明を聴いた。後々の言った言わないの水掛け論を避けるため、テープレコーダーでやりとりを録音した。
まず、申し訳ないという言葉もなく上から目線でいきなり加入云々の話が始まった。説明は出勤日数が年200日(社会保険制度参照)を超える配膳人を社会保険に加入させる。抱き合わせで社会保険加入者に対して有給休暇を付与すると説明された。ここで詳しくは書かないが本来、社会保険加入条件と有給休暇付与条件は全く違う基準であることを強調しておく。
説明が終わり一つ質問をしてみた。いわゆる社会保険の「加入逃れ」がなぜ?おこなわれていたのか?・・・労務曰く、デイリーは流動的で常用的に働いていることを把握できなかったと・・・この答えに対して反証してみる。
- 常備配膳人は日々紹介の配膳人から選ばれる。経験の浅い不慣れな配膳人からわざわざ選ぶわけがないし、選べるわけがない。
- 宴会支配人は、名前を呼べるほど常用的に働いていることを知っている。支配人から実態を把握できるはずである。
- H12年にホテルに配膳人を供給していた有料職業紹介所を3社から同グループの1社だけにし、他の2社の常用状態の配膳人らに宴会支配人S氏より移籍について説明がなされた。(のちに移籍に対して裁判になる)
その場しのぎの情けない言い訳に呆れて果て、問いただすことはしなかった。
しかし、この後・・・思いもよらぬ・・・!
-つづくー
最終回はこちら
現代の奴隷制度!
世の中にはあまり知られていないが、ホテルの宴会は時季により必要人数の増減があり、これに対応すべく日々紹介というかたちで配膳人を斡旋する有料職業紹介所なるものが存在する。ホテル業界では当たり前のことである。
ただ、非正規の日々紹介といえど十年、二十年と同一のホテルに紹介され生活をしている配膳人は少なくない。
ここで問題になるのは、有料職業紹介所の対応である。「求人者には、そのご希望に適合する求職者の紹介に努めます」と建前では掲げているが、有料職業紹介所の機嫌を損ねると日々紹介であるがため仕事を紹介しなくなる。それは言い換えれば生活不安を利用し配膳人を意のままにコントロールすることができることを意味する。暴行を受けても、嫌がらせされても、罵倒されても、セクハラされても配膳人は生活不安をちらつかされ服従し公になることはまずない隠蔽されるのである。加えて、労働基準法違反にさえ声をあげることができない。
また、日々紹介の配膳人たち(以下デイリー)は日々紹介の配膳人から常備または専任として一定の雇用を保障された雇用契約を結ぶ常備配膳人たち(以下、リーダー)の指揮命令下で仕事を行っている。いわゆる宴会を仕切る配膳人が存在するのである。ここでも、デイリーたちはリーダーの機嫌を損ねると宴会を終わるのを待たずに帰されたり、暴行を受けたり、常識では考えられないような理不尽なことをされることがある。建前としてはサービスの能力に問題があるとして「あいつを入れるな!」と有料職業紹介所を介して生活不安を利用し配膳人のコントロールができることになる。
なぜ、リーダーたちが有料職業紹介所にそんな権限をもつのか?不思議に思うかもしれない。実はホテルの中にある有料職業紹介所の出張所(以下、配膳会)からデイリーを手配する社員は、現場を知るリーダから社員登用されているからである。ようは、先輩後輩の仲間である。
もう、察しの良い人はここで気づくだろう。ずる賢い人間がこの制度を悪用すると、奴隷制度が出来上がる・・・その証拠にデイリーを発注することを「〇人、買う!」という言葉を躊躇うことなく当たり前のように使っている。
それを知らず奴隷契約書にサインをしてしまうのである。
仕事を手伝って欲しいので、「あなたの奥さん、娘さんを二人買いました。」
言われた気分はどうですか?
ーつづくー